
見積書に知らない項目が並んでいて、払うべきか判断できない



必須と言われたけれど、本当に必要なの?
賃貸の初期費用には、室内消毒代のように断れば外せる任意の項目が含まれていることがあります。
ただし、見積書を見ただけでは、どれが任意でどれが契約の条件なのかは見分けられません。
一方で、見積書の項目を1つずつ確かめる方法なら、外せる費用と払うべき費用をはっきり分けられます。
払わなくてもいい7つの項目と見極め方、外したときに下がる金額を、順に紹介します。



署名の前に、何を外せば総額が下がるかまで判断がつくはずです。
賃貸の初期費用で払わなくてもいい7つの項目


払わなくていい可能性が高いのは、室内消毒代、24時間サポート代、書類作成費などの任意の項目です。
- 消毒や害虫駆除の費用:入居前の消臭・抗菌や害虫駆除は任意のことが多い
- 24時間サポート代:火災保険の付帯サービスと重なっていることがある
- 書類作成費:契約書の作成は本来、仲介手数料に含まれる業務
- 簡易消火器代:共用廊下に消火器があれば、部屋ごとの設置は要らないことが多い
- 浄水器のリース料:月1,000円前後で、任意のオプションであることが多い
- 入居時のクリーニング代:退去時にも請求されるなら二重払いになる
- 仲介手数料の上限超え分:借りる側の負担は原則0.5ヵ月分+消費税まで
いずれも、契約の条件になっていれば払う必要があります。外せるかどうかは、1つずつ確かめていきます。
消毒や害虫駆除の費用
室内の消臭・抗菌や害虫駆除の名目で請求される費用で、多くは任意です。
相場は1万〜3万円ほどで、法律で義務付けられているものではありません。 実際の作業は、消臭・抗菌スプレーを散布する程度のものも多くあります。
見積書に載っていたら、次の3点を聞いてみてください。
- どのような薬剤を使い、どの範囲を施工するのか
- 作業報告書は発行してもらえるのか
- 自分で市販の防虫剤を使う場合でも必要なのか
説明できない場合は、根拠のないまま慣習で計上されている可能性があります。「自分で対応します」と伝えるだけで外れるケースも少なくありません。
実際、消毒代を支払ったのに作業された形跡がなかったという相談も報告されています。施工の有無を確認する意味でも、作業報告書の発行を求めておくと安心です。
ただし、貸主が入居条件として指定している物件もあります。その場合は契約書に記載があるため、書面を確認してから判断しましょう。
24時間サポート代
水漏れや鍵の紛失などに対応するサービスの費用です。
相場は1万6,500円前後で、年額として請求されることもあります。任意加入となっているケースが多い項目です。
サービス内容は会社によって幅があります。鍵開けや水漏れの一次対応だけを含むものから、害虫駆除や健康相談まで付くものまでさまざまです。金額だけでなく、何が何回まで無料なのかを確かめてください。
注意したいのは火災保険との重複になります。賃貸契約で加入する火災保険には、鍵開けや水まわりのトラブル対応が付帯していることが珍しくありません。両方に入ると、同じ内容へ二重に支払うことになります。
確認する順番は次のとおりです。
- 加入予定の火災保険の付帯サービスを調べる
- 24時間サポートの対応範囲と比べる
- 重複していれば外せないか相談する
火災保険の内容を確認してから判断してください。
書類作成費
契約書の作成費用として請求される項目ですが、根拠が乏しいとされています。
契約書や重要事項説明書の作成は、本来なら仲介手数料に含まれる業務にあたります。宅地建物取引業法では、仲介手数料の上限が賃料1ヵ月分+消費税です。別途で書類作成費を請求すると、実質的に上限を超える可能性があります。
事務手数料、契約事務手数料といった名目で計上されることもあります。名前が違っても中身は同じです。
「この費用は何に対する対価ですか」と聞いてみてください。 仲介手数料と重複していれば、外れる可能性があります。


簡易消火器代
部屋に置く簡易消火器の購入は、任意であることが多い項目です。
消防法施行規則(第6条第6項)では、消火器は建物の各部分から歩いて20m以内に1本あるように置くと定められています。共同住宅では、共用の廊下に置くことでこの条件を満たしている建物が多く、広い部屋でなければ各部屋への設置は求められません。
見積書に1万〜2万円の「簡易消火器代」が載っていたら、入居の条件かどうかを聞いてみましょう。条件でなければ、ホームセンターで3,000円前後のものを自分で買う選択もできます。
浄水器のリース料
蛇口に付ける浄水器のリース料は、月1,000円前後の任意のオプションであることが多い費用です。
初期費用に数ヵ月分がまとめて載っていたり、入居後の家賃と一緒に毎月引き落とされたりします。途中で解約すると違約金がかかる契約もあるので、使わないなら契約前に外してもらいましょう。
浄水器を使いたい場合も、市販の蛇口取り付け型なら数千円で手に入ります。
入居時のクリーニング代
入居時にクリーニング代を払い、退去時にも請求されるなら二重払いです。
クリーニング代は、退去時に原状回復として精算するのが一般的です。入居時に前払いする場合は、退去時にもう一度請求されないかを契約書で確かめましょう。
敷金ゼロの物件では、退去時の定額クリーニング費用が特約で決まっていることもあります。くわしくは、次の記事で解説しています。


仲介手数料の上限超え分
借主が負担するのは、原則として賃料0.5ヵ月分+消費税までです。
宅地建物取引業法では、居住用の建物を仲介する場合、不動産会社が依頼者の一方から受け取れる報酬は賃料0.5ヵ月分+消費税が原則と定められています。1ヵ月分+消費税を受け取るには、依頼を受けるまでに借主の承諾を得る必要があります。
実務では申込書などで承諾を取る会社が多く、1ヵ月分の請求が違法とは限りません。
判断の分かれ目は、依頼を受ける前に承諾を得ているかです。
ただし、承諾の説明を受けた記憶がなければ確認する余地があります。 賃料8万円なら、0.5ヵ月分の差は4万4,000円です。


とはいえ、「7つのうち、自分の見積書にどれが入っているのか分からない」という方もいるはずです。画像を送ってもらえれば、該当する項目に印をつけてお返しします。
基本的に払う3つの項目
敷金・礼金、前家賃、鍵交換費用は、契約の条件になっていることが多く、基本的には払う項目です。
無理に外そうとすると、入居審査で印象が悪くなったり、入居後に自分が困ったりすることもあります。払うものと外せるものは、分けて考えましょう。
敷金と礼金
どちらも貸主が決める条件で、不動産会社の判断では外せません。
敷金は退去時に精算されて残りが返ってくる預け金で、礼金は貸主に渡し切るお金です。募集が長引いている物件や閑散期なら、減額に応じてもらえることがあります。最初から敷金・礼金ゼロの物件を選ぶのも1つの手です。
前家賃と日割り家賃
翌月分の家賃と入居日から月末までの家賃で、支払い自体は避けられません。
入居日を調整すれば、日割り分を抑えられる場合があります。
鍵交換費用
相場は1万〜3万円で、契約書に借主負担と書かれていれば払う義務があります。
国土交通省のガイドラインでは貸主負担が妥当とされていますが、法的な強制力はなく、特約で借主負担とする契約も有効です。契約書に記載も特約もなければ、負担の根拠を聞いてみてください。


賃貸の初期費用を支払わなくてもいい理由


そもそも法律で決まっていない費用が多いからです。
法律で加入が義務付けられていない
消毒代や24時間サポート代は、加入を強制する法律がありません。
支払う義務があるのは、賃料や共益費のように契約の内容として定められたものです。オプションとして提示された項目は、名前のとおり任意になります。
国民生活センターにも、必須と説明されて支払ったが実際は任意だったという相談が寄せられています。強制と受け取れる説明を受けたら、根拠を書面で示してもらいましょう。
地域や会社の慣習で計上されている
同じ物件でも、扱う不動産会社が変われば見積書の内容は変わります。
賃貸物件の多くは複数の不動産会社が同じ物件を取り扱えます。同じ部屋なのに初期費用の総額が数万円違うのは、各社が独自に設定した項目が乗っているためです。
慣習として載せているだけの項目もあります。根拠を尋ねただけで外れることも珍しくありません。
同じ物件を扱う会社を2社から3社ほど比べると、どこが各社独自の項目なのかが見えてきます。
火災保険や別のサービスと重複している
同じ内容に二重で支払っているケースがあります。
24時間サポートと火災保険の付帯サービスが典型例です。簡易消火器の代金も、消防法で設置が義務付けられている建物かどうかで扱いが変わります。
内容を並べて比べてみてください。 重複が見つかれば、外す根拠になります。
家賃保証会社の保証料と、連帯保証人を立てる場合の扱いも同様です。保証人がいるのに保証会社への加入を求められた場合は、貸主の条件なのかを確認しましょう。
任意の項目を外してもらう伝え方
「これは任意ですか」「つけないと契約できませんか」と、まず事実を聞きます。
いきなり「外してください」と言うより、任意かどうかを先に確かめたほうが、相手も答えやすくなります。任意だとわかったら、「今回は外してください」と率直に伝えましょう。
外すのを渋られたときは、「消毒は自分でやります」「消火器は自分で用意します」のように、代わりの手段を添えると話がまとまりやすくなります。
見積書を受け取ったら、任意かどうかを聞く項目に印をつけてから連絡してみてください。
支払い義務があるかは重要事項説明書で確認する
見積書と契約書は別のものです。
見積書に金額が書かれていても、それだけで支払い義務は生じません。契約の条件になっているかどうかは、契約書と重要事項説明書で確認します。
- 募集図面:条件として記載があるか。備考欄に小さく書かれていることがある
- 重要事項説明書:宅地建物取引士が契約前に説明する法定の書面
- 賃貸借契約書と特約:個別の取り決めが記載される。特約の欄は必ず読む
「必須です」と言われたら、その条件が契約書の何条に書かれているかを尋ねましょう。 契約の条件であれば、必ず書面に記載があります。
重要事項説明は、契約を結ぶ前におこなうと法律で定められた手続きです。説明を受けてから契約するまでに、内容を読み返す時間をもらって構いません。 その場で署名を求められても、持ち帰って確認したいと伝えましょう。



見積書をもらったら、余計なオプションや省ける項目がないか必ず確認してみてください。1万円以上は平気で変わります。
払わなくてよい費用と交渉で下げる費用は違う
この2つは分けて考えます。
払わなくてよい費用は、契約の条件になっていないものです。消毒代や書類作成費が該当します。判断の軸は外せるかどうかになります。
交渉で下げる費用は、支払う前提があるうえで金額を相談するものです。礼金や仲介手数料が該当します。判断の軸はいくらにするかです。
聞き方も変わります。前者なら「この費用の根拠を教えてください」と聞き、後者なら「この金額を下げられませんか」と相談するのが基本です。
混ぜて話すと、どちらも通りにくくなります。まず外せる項目を確定させてから、残った金額を相談するという順番が効率的です。
見積書を受け取った方は、項目ごとに「外す」「相談する」の印をつけてから連絡してみてください。


でふ兄が外せると話す3つの項目(自社の知見)


でふ兄によると、外せることが多いのは「室内消毒代」「安心入居サポート」「書類作成費・事務手数料」の3つです。
でふ兄本人は、自身のInstagramで次のように話しています。
- 室内消毒代:1万〜3万円かかることが多いが、ほぼ任意。「自分でアルコール消毒します」と伝えれば外せる
- 安心入居サポート:24時間サポートや鍵の紛失補助などのセットで2万〜3万円。最近は必須の物件も増えているが、外せる物件も多い
- 書類作成費・事務手数料:何の費用なのか、根拠を確かめる余地が大きい
この3つが重なると、それだけで5万〜10万円になる見積書も珍しくありません。
とはいえ、「自分の見積書のどれが任意なのか、聞きにくい」という方も多いでしょう。見積書の画像を送ってもらえれば、外せる項目と契約の条件になっている項目を分けてお伝えします。
賃貸の初期費用の内訳と相場
初期費用の総額は、家賃の4.5〜5ヵ月分がひとつの目安です。
- 敷金:家賃の1〜2ヵ月分
- 礼金:家賃の1〜2ヵ月分
- 前家賃:家賃の1ヵ月分
- 仲介手数料:家賃の0.55〜1.1ヵ月分(消費税込み)
- 火災保険料:1.5万〜2万円
- 保証会社の保証料:家賃の50〜100%
- 鍵交換費用:1万〜3万円
ここに任意の項目が加わると、総額はさらに膨らみます。見積書を受け取ったら、この一覧にない項目に印をつけてみてください。
外すと初期費用の総額はいくら下がるか
金額にすると実感が変わります。
賃料8万円の物件で、任意の項目を外した場合を試算しました。
- 消毒代:2万円
- 24時間サポート代:2万円
- 書類作成費:1万1,000円
3つ合わせて5万1,000円です。賃料の半月分を超えます。
初期費用の総額は賃料の4.5ヵ月分から5ヵ月分が目安とされ、賃料8万円なら36万円から40万円ほどです。そこから5万円近く下がれば、引越し代や家具の購入にまわせます。
仲介手数料が0.5ヵ月分まで下がれば、さらに4万4,000円の差が出ます。外せた金額は、引越し代や家具の購入にまわしましょう。
賃貸の初期費用を見極める3つの方法


判断の材料は自分でも集められます。
誰が費用を設定しているかを確認する
貸主が決めた条件か、不動産会社が付けた項目かで扱いが変わります。
敷金や礼金、家賃保証会社の利用条件は貸主が決めます。不動産会社の一存では動かせません。
一方、消毒代やサポート料、書類作成費は不動産会社が設定していることが多い項目です。こちらは外せる余地があります。「これは貸主さんの条件ですか」と聞けば、どちらなのかがわかります。
同じ物件の条件を他社で確認する
賃貸物件の約90%は、どの不動産会社でも契約できます。
気になる物件を複数社に問い合わせれば、見積書の差が見えます。契約しなければ費用はかからないため、比べること自体に損はありません。
ただし、同時に何社も申し込むのはマナー違反にあたります。見積もりの段階までにとどめましょう。


項目ごとに相場と照らし合わせる
極端に高い項目があれば、その会社だけの設定である可能性があります。
目安となる相場は次のとおりです。
- 消毒代:1万5,000円から2万2,000円
- 24時間サポート代:1万5,000円から2万円
- 鍵交換費用:1万円から3万円
相場を超えていれば、内訳の説明を求める根拠になります。
金額そのものより、内訳を説明できるかどうかが判断材料です。説明に詰まる項目は、慣習で計上されている可能性が高いといえます。気になる項目が見つかった方は、まず内訳の説明を求めてみてください。


初期費用を抑えるその他の方法
外す以外にも、総額を下げる手段があります。
時期をずらして探す
5月から8月は物件が動きにくい時期です。
1月から3月の繁忙期は、条件を下げなくても入居者が決まります。閑散期のほうが、貸主も条件を緩めやすくなります。
費用の安い物件条件を選ぶ
敷金・礼金ゼロやフリーレント付きの物件を最初から探す方法です。
交渉するより確実で、手間もかかりません。ただし、退去時の費用が高めに設定されていることがあります。短期解約違約金の有無もあわせて確認しましょう。
支払い方法を分散させる
分割払いやクレジットカード払いに対応する会社があります。
総額が下がるわけではありませんが、入居時の負担は軽くなります。 分割払いには手数料がかかる場合があるため、総支払額を確かめてから選ぶのが安心です。


3つのうち、自分の引越しで使えそうなものから試してみてください。
【まとめ】賃貸の初期費用で払わなくていいものは書面で確認


賃貸の初期費用で払わなくてもいい項目は、消毒や害虫駆除の費用、24時間サポート代、書類作成費、簡易消火器代、浄水器のリース料、入居時のクリーニング代、仲介手数料の上限超え分の7つです。
判断の基準は契約の条件になっているかどうかになります。見積書に載っているだけでは、支払い義務は生じません。
とはいえ、届いた見積書を前に「どれが外せる項目なのか」を自分で判断するのは簡単ではありません。
いま手元に見積書があるなら、でふ兄不動産に画像を送ってもらえれば、1項目ずつ、外せるものと契約の条件になっているものをお伝えします。 物件を紹介する前の段階でも構いません。


賃貸の初期費用に関するよくある質問
- 初期費用で払わなくていいものは何ですか
-
消毒代、24時間サポート代、書類作成費が代表的です。 いずれも加入を義務付ける法律がなく、任意のオプションとして扱われていることが多くあります。ただし契約の条件になっていれば支払う必要があるため、契約書と重要事項説明書を確認してください。
- 消毒代は断れますか
-
契約の条件になっていなければ断れます。 法律で義務付けられた費用ではありません。「自分で市販の薬剤を使います」と伝えると外れるケースがあります。必須と言われた場合は、契約書のどこに記載があるかを確認しましょう。
- 書類作成費を請求されたらどうすればいいですか
-
何に対する費用かを確認してください。 契約書の作成は、本来なら仲介手数料に含まれる業務です。仲介手数料の上限は賃料1ヵ月分+消費税と定められているため、別途請求すると実質的に上限を超える可能性があります。
- 初期費用はいくらまで下げられますか
-
物件と不動産会社によって変わります。 任意の項目を3つ外せた場合、賃料8万円の物件で5万円近く下がることもあります。外せるかどうかは契約の条件しだいなので、見積書の項目を1つずつ確認するのが確実です。
- 見積書と契約書はどちらが優先されますか
-
契約書です。 見積書に金額が書かれていても、契約の条件を定めるのは契約書と重要事項説明書になります。見積書に載っているだけの項目は、外せる可能性があります。
- 浄水器のリース料は断れますか
-
任意のオプションであれば断れます。 月1,000円前後のリース料が初期費用や毎月の支払いに含まれていることがあります。途中で解約すると違約金がかかる契約もあるため、使わないなら契約前に外してもらいましょう。
- 簡易消火器は買わないといけませんか
-
共用の廊下などに消火器がある建物なら、部屋ごとに買う義務はないことが多いです。 消防法施行規則では、建物の各部分から歩いて20m以内に1本あればよいと定められています。必要だと言われたら、自分で用意してよいかを聞いてみましょう。









